意図していなかった嘘が嘘を生み、その嘘のために人生の全てが揺らいでしまった一人の女性。そして、その女性を愛してしまった二人の男性の葛藤と和解を描いた「ミス・リプリー」。

このドラマは２００７年に起きた韓国社会全体に衝撃を与えた学歴詐称事件をモチーフにしている。
どこにでもいるような一人の女性が、お金も、学歴も、運もないために、逃げたり耐えることでしか世の中に応戦することが出来なかった。しかしある日、たまたまついた嘘によって、今までいくら努力しても開くことが出来なかった扉が簡単に開き始める。彼女が知った現実は、今まで信じていた道徳教科書の内容とは全く違い、「騙される人が馬鹿で、騙す人が笑う」という勝利の法則が世の中には存在していることだった。たった一つの嘘から、彼女が今まで夢見ていた職業も、お金も、名誉も得ることが出来るということを知る。そして、素敵な二人の男性とも出会う。彼女にとってはまるで社会が嘘を薦めているかのように見えていた。このドラマは、「正義と誠実とは何か」「本当の人生とは何か」「真実の愛とは何か」という疑問を視聴者に問いかけている。
もう少しだけ幸せな人生を送りたいともがき、嘘という甘い誘惑にはまってしまう女性・チャン・ミリ役に個性派俳優としての演技力が評価されているイ・ダヘ、ホテル総支配人として上り詰めた人生の確かな道を歩きながら完璧な人生を目指すチャン・ミョンフン役にキム・スンウ、リゾート会社の後継者という確固たる背景を持ちながらも真実の愛を夢見て、ある日突然目の前に現れた嘘まみれのチャン・ミリの魅力にだんだんとはまってしまうソン・ユヒョン役にパク・ユチョンが抜擢される。
ドラマ「成均館スキャンダル」で俳優として華やかにデビューを飾ったユチョンが、「ミス・リプリー」では、優しく配慮のある繊細なソン・ユヒョン役を魅力的に演じ、俳優としての境地を確立した。また、自身が歌うドラマの挿入歌でも注目を集めた。

作品名	ミス・リプリー
出演	キム・スンウ、イ・ダヘ、パク・ユチョン、カン・ヘジョン
放送期間	２０１１、０５、３０～２０１１、０７、１９
放送局	ＭＢＣ
監督	チェ・イソプ、チェ・ウォンソク
脚本	キム・ソニョン

幼い頃に両親を失い、孤児院で生活を送っていたチャン・ミリ（イ・ダヘ）は、日本に養子に出される。

しかし、養父の賭博による借金のために水商売をしながらどん底の生活を送っていた。ミリは借金を清算して、生き残るために逃げ出すように韓国へ戻る。
そして、韓国滞在に必要なビザを得るために職を探していたが、学歴もコネもない彼女にとって現実は厳しかった。
そんな時、ホテルの総支配人チャン・ミョンフン（キム・スンウ）と、リゾート会社の後継者ソン・ユヒョン（パク・ユチョン）の二人の男性と幼い頃に孤児院で一緒に生活していたムン・ヒジュ（カン・ヘジョン）に出会う。ミリは、一つの嘘をきっかけに次々と嘘を重ねて、それぞれ４人の関係がしだいに絡みあっていく。

• チャン・ミョンフン（キム・スンウ）

医大を卒業したが、家庭の暮らし向きがよくなかったためホテルのマーケティング部へ就職した。
ホテルでの完璧な仕事捌きによって能力を認められ、代々韓国の最高ホテルを経営してきた家柄の一人娘と結婚し、ホテルの総支配人席まで上り詰めた。
常に一番になることを目標として生活し、常に一番を手に入れてきたため、人生を完璧にコントロールすることが出来ると考えていたが、一度火がつけば理性を失ってしまう程、熱い情熱を持った男。

• チャン・ミリ（イ・ダヘ）
幼い頃に親に捨てられた心の傷によって、人と世の中に対する不信感で内面が埋もれていた。
日本に養子に出されたが、どん底の生活を経験しながら生き残るために韓国に逃げてきた。
紆余曲折の末に、韓国で最高のホテルのメイドを始めることになり、成功のためにホテルとリゾートの各分野で最高の実力者と呼ばれる二人の男を利用することになる。
日本で東大を卒業したという嘘をはじめ、世の中を相手に一勝負の詐欺劇を始める。

• ソン・ユヒョン／ユタカ（パク・ユチョン）
モンドリゾートの後継者。優しく配慮があり繊細な性格である 。
時には果敢に決断し、断固として押し通す推進力でリーダーとしての資質も持ち、この時代に現れた王子様のような魅力を持つ男。
最年少でリゾート業界に華やかに登場し、整った容姿と同じくらい完璧な能力を見せ付ける。
しかし、確固たる背景とは別に市場通りや食堂などが好きで、このような所で過ごすことが、人を知り、愛を知り、真実に人を愛することが出来ると信じている。

• ムン・ヒジュ（カン・ヘジョン）
東大の建築学科を卒業。優しく純粋で弱さもあるが賢い。
両親を失い、しばらくの間孤児院で生活することになり、ミリと出会う。
自分とは違って強い心を持ち我の強いミリが大好きだった。
自分の代わりにミリが日本に養子に行く時も、心から幸せを祈った。
大使館を通じてホテルＡの臨時職員として就職し、偶然にミリと再会する。
自分の学位証を偽造して、出世の踏み台としているミリの野望に本意ではないが巻き込まれていく。

• 新村

延世大学があることで有名な新村は、学生街として学生向けの食堂や学生のための下宿、寮が多く立ち並んでいる。ドラマの中では、ユヒョンとミリが一時的に生活をしていたコシウォン（考試院：国家試験や大学受験に向けて勉強をする学生のための宿泊施設）や周辺のシーンが撮影された。

• 漢江
ソウルの中央を横切る漢江は、韓国を代表する川の一つとして知られる。川沿いには公園や遊歩道、サイクリングロードなどが整備され、市民の憩いの場になっている。四季折々の自然が感じられると共に、夜には漢江に架かる橋のライトアップなどが美しく、ソウルを代表する夜景スポットにもなっている。ドラマの中では、ユヒョンがミリと分かれた後に、思い出がよみがえり涙が込み上げてくるシーンが撮影された。

• 清渓川
ソウルの都心部を流れる清渓川は、朝鮮時代の人口増加によって生活排水を流すために整備された溝が原形となり、時代を経て川を埋め立て高架道路が建設された。そして、環境問題や市民の声によりの２００３年から２年間を費やし再び清渓川が復元された。散策路、滝、石橋などが設置され、現在では市民の憩いの場になっている。また、季節ごとにさまざまなイベントも開催されている。ドラマの最終回でユヒョンとミリが「自分を愛する方法を知ることが最も偉大な愛です」という言葉が書かれた屋外ビジョンを眺めている名場面が撮影された。