♦エリア : ソウル(鍾路区)
♦600年の時を超えた美しい韓屋マウルの景色
北村
朝鮮王朝の首都である漢陽の中心に位置する、清渓川と鍾路の北の地域であることから“北村”と呼ばれるようになった。この北村の地域には、朝鮮時代(1392年~1910年)末に建てられた伝統家屋が900件余り密集している。朝鮮時代に、両班(ヤンバン)と呼ばれる官僚や支配機構を担った身分階級が住む地域であり、上流階級の居住地であった。
王宮の景福宮と、離宮の昌徳宮の間に位置し、北岳の山並みの南斜面に位置していることから、風水学的にも大変環境のよい場所とされてきた。
600年の歴史を残す北村は、都心の中の博物館とも言われ、韓国の伝統家屋である韓屋を保存する取り組みが行なわれている。そして韓屋だけではなく、宮中料理、刺繍、組紐、漆器などの工房も点在し、職人たちによって伝統工芸が受け継がれている。
韓国らしい美しい家並や韓屋は、映画やドラマのロケ地としても度々登場し、ロケ地を見学するために北村を訪れる人々も多い。
北村八景
北村は嘉会洞(カフェドン)、桂洞(ケドン)、三清洞(サムチョンドン)、苑西洞(ウォンソドン)、斎洞(ジェドン)、八判洞(パルパンドン)、安国洞(アングッドン)、松峴洞(ソンヒョンドン)、司諫洞(サガンドン)、昭格洞(ソギョクドン)、花洞(ファドン)一帯の広範囲を指す。
ソウル市は韓屋の美しさをより堪能し、北村をソウルの代表文化観光地として、多くの人々に足を運んでもらえるように、特に代表的な八箇所のスポットを北村八景として指定した。
昔からの生活が息づく迷路のような路地をめぐり、韓国の奥深い歴史や伝統に触れることができる。八景全てを歩いて回るには、約2時間から2時間半ほどが必要である。
北村八景は、韓国の人気バラエティ番組「1泊2日」でも紹介され、より多くの人々に注目されるようになった。週末ともなると、地元の韓国人もカメラを持って八景の一つ一つを訪れている。
北村八景の見所ポイント
昌徳宮は正宮である景福宮に対して、一時的に王が滞在する離宮として創建された。しかし朝鮮時代の宮殿の中でも、最も長く王の住まいとなった所でもある。現在韓国にある古宮の中でも、最も創建時の面影を残していると言われている。1997年にはユネスコの世界文化遺産に登録された。
北村一景は、北村地域の東側に位置し、北村通りの緩やかな坂道から石垣の塀越しに昌徳宮の全景が最もよく見渡せる場所である。塀の向こうには新たに復元された奎章閣(キュジャンガク)、旧璿源殿(クソンウォンジョン)を望み、その背後には国の重要な儀式が行われた正殿の仁政殿(インジョンジョン)の側面を望むことができる。昌徳宮内部から見る景色とは違い、少し高い場所から歴史的な建物が立ち並んだ様子を見渡すことができる。 朝鮮時代から石垣の内側は王の居住空間であり、外側は百姓たちの居住空間としての生活が感じられるところであった。石垣を境にして全く違った景色を見ることができる。
北村二景は、静かな苑西洞にあり、昌徳宮の石垣の道に沿って行くと韓国美術博物館、リ・ギテ(李基泰)伝統凧工房などがある。細い路地の突き当たりは宮中飲食研究院の庭先と特徴的な瓦文様の塀がある。さらに奥に突き進んだ所には、歴史を物語る洗濯場がある。昌徳宮の敷地内から流れていた小川は、宮殿で生活する女性たちが顔を洗ったり、洗濯をしたりする際に、米ぬかなどを使用していたため水が濁っていた。しかし、この水で洗濯をすると汚れが綺麗に落ちるという噂が広まり、洗濯場として利用されていた。
この地域は、現代も静かな住宅街の中に朝鮮時代の面影を残す文化財が点在し、王室に遣えた人々の生活の跡が残されている。一部の韓屋内部は、伝統工芸の工房ともなっており、門の柱には工房の案内標識がある。工房では伝統工芸の作品を見学したり、実際に体験することができる。
北村三景は、韓屋が密集して立ち並び、内部を開放している韓屋が多い。刺繍工房、民画工房、組紐工房など、伝統工芸品の展示や実演を見学したり、さまざまな体験プログラムを整えている。。
この地域一帯は特徴的な韓屋の門構えや壁が続き、美しい景観となっている。迷路のように続く細い路地からは、伝統を守りながら生活する人々の様子が感じられる。
高台からは、遠くに南山Nソウルタワーも望むことができる。
ハン・サンス(韓尚洙)刺繍工房 | 嘉会民画工房 | 東琳メドゥプ工房 |
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伝統刺繍を継承している重要無形文化財第80号刺繍工芸家ハン・サンス(韓尚洙)の作品を展示している。 | 庶民の生活と願いが込められたお守りや民画、民俗資料などを所蔵、展示している。 | メドゥプと呼ばれる組紐は、韓服や帯、巾着などの装身具である。代々伝えられてきたメドゥプの作品などが展示されている。 |
♦ドラマ『冬のソナタ』のロケ地 中央中・高等学校
北村二景から三景へ向かう途中には、韓流ブームの火付け役ともなった人気ドラマ『冬のソナタ』のロケ地である中央中・高等学校がある。ドラマの中では春川第一高校として登場した。学校の正門前には、韓流グッズのお店も点在している。
1908年に創立され、ソウルでも伝統ある名門学校として知られる。ヨーロッパの建築様式を用いた校舎は、史跡としても登録されている。日本の統治時代には、学校の宿直室で三・一独立運動の準備が行なわれた場所でもある。独立運動発祥の記念として、当時の宿直室が復元されている。
北村四景は、嘉会洞31番地一帯の地域である。この地域は北村の中でも保存状態の特に美しい韓屋が密集している。丘の上からは、韓屋の瓦屋根が連なる様子を一目で見渡すことができる。
また、うねる瓦屋根の間には北村北端の最上部に位置し、緑色の破風屋根が目立つイ・ジュング(李俊九)の家も見え、ユニークな風景をつくり出している。イ・ジュングの家は、日本統治時代に建てられ、開化期の上流階級が暮らした西洋式家屋として文化財資料に指定されている。朝鮮半島北西部の開城にある松岳(ソンアク)の神聖な岩である花崗岩とフランスの瓦が使われ、アーチ型に建てられた門や格子模様の窓なども特徴的である。
北村五景は、北村の中でも特に韓屋が密集して保存さている地域である。ソウル市北村韓屋マウル保存事業が、初期から積極的な路地保護政策を施行したため、この景観を最もよく楽しむことができると言われている。まさに時代を越えた家並みを見ているかのようである。
オシャレなショップやカフェが立ち並ぶ三清洞からも近いため、カメラを持って北村を散策する人々からも人気が高く、韓国人だけではなく、多くの観光客も訪れている。
北村六景は、坂の上から見下ろす韓屋が立ち並ぶ景色と、瓦屋根の間に広がるソウル市内の近代的な街並みを見渡すことができる。北村の中でも一番の美しさを誇り、旅行ガイドブックやポスターなどにも度々登場している。一日の中でも、朝と夕方では違った情景を楽しめる。
北村五景から韓屋が立ち並ぶ路地に沿って上がると、坂の頂上付近に第6のフォトスポットがある。同じ路地ではあるが、下りと上りでは違った趣が感じられる。
北村七景は、静けさと穏やかを感じる素朴な路地である。北村五景と六景が北村の中でも特に多くの観光客を集める路地であるのに比べて、北村七景は韓屋が与える伝統的な穏やかさと余裕が感じられる。街の中心地から近いにも関わらず、朝鮮時代の面影と伝統を守りながら暮らす人々の生活がある。
北村八景は、ボッジョンギル(福井通り)に沿って歩いていく途中に位置する、三清洞通りに降りていく曲がりくねった石階段である。この地域一帯は、西側が低く、東側が高い地形に合わせて、石段が東西方向に造られている。急な斜面に家屋が建設されたため、入り組んだ路地が階段になっており、階段から直接家の門に入るようになっている。ここで眺める石段は不恰好ではあるが、大きな一つの岩盤を掘り出した造った特徴的な階段であり、ユニークな景観を成している。下から階段を上って行くと、上側の階段の前面には青いタイルが敷き詰められている。第8のフォトスポットは、階段を上る手前に位置している。
三清洞石段通りと平行するように、隣にはマルグンハヌル通りがある。マルグンハヌルは、晴天や澄んだ空ことである。階段を上りきったところからは、密集した韓屋の屋根と景福宮、仁旺山、青瓦台の眺望が広がる。
北村は伝統的な韓屋を保存すると共に、現代的な建築要素を加えて新たに発展している。韓屋の内部を改装したレストランやカフェ、ギャラリーなども点在し、伝統と現代的なセンスがより一層オシャレな空間を創り出している。
- 北村二景周辺
- 壁画アート
- 風情が感じられる路地
- 芸術的な壁模様と電灯
- 個性的なショップ
- 案内標識
北村と呼ばれる地域は広範囲に渡り、迷路のように入り組んだ路地が多い。観光案内所には韓国語だけではなく、日本語、英語、中国語で書かれた地図があるので、地図を持って散策するとよい。
北村八景(ブッチョンパルギョン)(韓国語 북촌팔경) | |
住所 | (日本語)ソウル市 鍾路区 嘉会洞、苑西洞、斎洞、三清洞 一帯 (韓国語)서울시 종로구 가회동, 원서동, 재동, 삼청동 일대 |
電話番号 | 観光案内センター(正読図書館前) 02-731-0574 |
運営時間 | 観光案内センター 夏季10:00~18:00/冬季10:00~17:00 |
行き方 | 地下鉄3号線 安国(アングッ)駅から徒歩15分 |
ホームページ | http://bukchon.seoul.go.kr/jap/index.jsp(日本語) |